コラム

2025年9月26日

猫の耳垢から分かる病気を解説。外耳炎になりやすい猫も解説

猫の耳垢から分かる病気を解説。外耳炎になりやすい猫も解説

猫の耳垢をじっくりと観察したことはありますか?

実は、猫の耳垢に病気が隠されている場合があります。
ここでは、猫の耳垢について解説するとともに、耳垢からわかる病気についてもご紹介いたします。

猫の正常な耳垢とは?

まず猫の耳についてご説明しましょう。
猫の耳は、3つのパートに分けられます。
外耳・中耳・内耳です。

耳介(耳のパタパタ)から鼓膜までが外耳です。
耳の穴から鼓膜まで繋がっている部分を外耳道といいます。
外耳道の表面には、細かい耳毛や脂腺が多くあります。

これらの毛や、代謝によって剥がれた外耳道の表面の皮膚片、腺からの分泌物が混じり合ったものが耳垢です。

外耳道の表面の皮膚は、鼓膜から耳の穴に向かって代謝され新しい皮膚が生まれます。
そのため、古くなった皮膚は耳垢となり、出口である耳の穴へ向かって自然と運び出される仕組みになっています。
これを耳の自浄作用といいます。

耳垢は、このように自浄作用によって放っておいても耳穴まで出てきます。
べたついてなく、臭いも気にならず、軽く拭き取ればすぐにきれいになり、数日間は汚れが見られない耳垢は、正常な耳垢だといえます。

病気が潜む耳垢とは?

病気が潜む耳垢とは?

耳垢にも気をつけなくてはならない耳垢があります。
次のような耳垢には要注意です。

  • 臭いが強い
  • 量が多い
  • 通常の耳垢と色が異なる

上記のような耳垢を見つけたら病気が隠れている可能性があります。
それでは、どのような病気が考えられるか見てみましょう。
考えられる病気は2つです。

外耳炎

外耳炎は、耳穴から鼓膜までの外耳道部分が炎症を起こす病気のことです。
原因はさまざまですが、猫の場合、耳ダニに感染している、耳の構造異常、腫瘤やポリープなどのできものが原因であることが多いです。

耳ダニは、外耳道内に棲みついて剥がれた皮膚などを食べて生活しています。
ダニの排泄物や死骸が耳垢に混じるため、耳垢が真っ黒になります。
刺激もあるため、耳垢の量も多くなるのが特徴で、痒みも伴います。

耳の構造異常の場合、自浄作用が働きにくいので耳垢が自然に外に出にくいのが特徴です。
そのため、耳道内が高温多湿になりやすく、細菌感染やマラセチアという真菌の増殖が起こりやすくなります。
この場合、黄色や緑色といった膿が混じった耳垢が出ます。

また臭いも強くなるといった特徴がみられます。
炎症が強い場合には、痛みも伴うので眠れない、頭をよく振っている、頭を常に傾けているなどといった症状も特徴です。

マラセチアに感染している場合は、濃い茶色や黒色の耳垢が出ます。
こちらも量が多く臭いも強く、ひどい場合は炎症を伴い痛みも伴います。

腫瘤やポリープなどのできものがある場合も、細菌感染やマラセチアの感染を伴うことが多く、腫瘤自体からの出血なども起こることから、血が混ざった耳垢が見られることがあります。

このほか、外耳炎はアレルギーや自己免疫疾患などといった、全身性の病気の症状として現れることもあります。

この場合、耳垢にあまり変化は見られませんが、耳が痒くなるので掻く刺激によって耳道が慢性的に腫れて狭くなり、自浄作用が機能しなくなります。
そのため、耳垢の量が多くなり、感染が引き起こされることもあります。

中耳炎

中耳は、鼓膜より奥、頭よりにあり鼓室という空気で満たされた小部屋のことです。
鼓室のなかには、耳小骨という3つに分かれた骨が繋がって入っています。
これにより、鼓膜からの音の伝達や、中耳よりさらに奥の気圧や平衡感覚をつかさどる内耳へ振動を伝える役割を担っているのです。

中耳は顔につながる一部の神経が露出、あるいは近接しているため、中耳が炎症を起こすと、それらの神経に障害が起こります。
これにより、縮瞳(しゅくどう)や瞬膜の突出、斜頸などの神経症状が出ることがあります。

中耳炎は、鼓膜より中の炎症を指します。
本来であれば、中耳は耳の外とは鼓膜で隔てられているため、炎症が起きたりすることもなければ、そこから耳垢が出ることもありません。

しかしながら、外耳炎がひどくなり、鼓膜も炎症を起こしてしまい穴が空いてしまうと、そこから細菌が中耳に侵入して炎症を起こすことがあります。
また猫の場合は、何らかの原因により無菌性の粘膜が貯留し、炎症が起こるケースもあります。

耳垢が溜まりやすい猫=外耳炎を発症しやすい猫は?

耳垢が溜まりやすい=外耳炎を発症しやすいと言えます。
猫は犬に比べて、比較的外耳炎にはなりにくいとされていますが、なかでも、ヒマラヤンやペルシャは外耳炎の発症が多いとされています。

またスコティッシュ・フォールドやアメリカン・カールなどといった耳の形が特徴的な猫は、耳垢が溜まりやすいため、外耳炎を発症しやすいといえます。

まとめ

耳垢から隠れた病気を見つけるポイント、お分かりいただけましたでしょうか?

耳垢が溜まりすぎるのも病気を引き起こす原因になります。
定期的に耳のお手入れをしてあげることも大切です。

しかしながら、猫の耳は大変デリケートです。
やりすぎは禁物です。

目安は1週間に1度、ぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンで、耳介や耳の穴周辺についている汚れを優しく拭き取ってあげましょう。
汚れがついていなければ、拭く必要はありません。

また、鼓膜を傷つける恐れがあるので、決して綿棒で奥の方の汚れを取ろうとしないようにしてください。

耳垢に異常を感じたら、かかりつけの動物病院を早めに受診するようにしましょう。

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