原因ははっきりとは不明ですが、心臓の弁やその弁を支える腱索が粘液変性といわれる組織学的な変化を起こし、その結果、弁や腱索の変形、肥厚、虚弱、断裂などを引き起こします。それにより血流の逆流を引き起こし発咳(せき)や運動不耐性(散歩を嫌がる、すぐ疲れるなど)、腎障害、肝障害などの合併症を起こします。
好発犬種で代表的なのはキャバリアで4歳で約60%が罹患しているといわれています。他にも教科書的にはチワワやトイプー、マルチーズなどが好発犬種とされていますが、実際の臨床現場で治療にあたっていると圧倒的にチワワの子の罹患率が高いです。日本での飼育頭数の傾向にも起因しているでしょうが、上記にないミニチュアダックスにも多く認められます。
代表的な症状である咳(せきがでている時点ですでに病状は進行しています)も、飼い主さんはリードによる首の圧迫と思って気づいてあげれなかったり、毛玉を吐く仕草と勘違いしてしまっていることもよくみかけます。
聴診だけでは詳細はわかりませんが、毎日、診療に向き合っている獣医なら聴診だけでもそれが心臓が原因なのか、あるいはほかに原因があるのかぐらいはわかることが多いと思います。聴診だけならわずかなコストしかかかりません。違和感を何度も感じているなら早めに病院に連れて行ってあげましょう。