コラム

2025年11月27日

猫が吐いたらどうする?原因と症状、対処方法について

猫が吐いたらどうする?原因と症状、対処方法について

「愛猫が吐いた」
そんなとき、飼い主さんは慌ててしまいますよね。

いざというときに落ち着いて対処できるよう、あらかじめ猫が吐く原因と症状について知識を深めていただければと思います。

猫の嘔吐について

猫は肉食動物であるため、本来食べてしまった獲物の毛や小骨などの消化できないものを排出するために吐き出す性質があります。

そのため、ペットのなかでも猫は、犬などほかの動物に比べて嘔吐がよく見られるのです。
ペットとして飼われている猫にとって、毛づくろいのときに飲み込んだ毛玉を吐いたり、食べすぎた時に吐いたりするのは、いわば正常な状態です。

猫が毛玉を吐くのは正常な状態ですが、長毛種のほうが、短毛種よりも飲み込む毛の量が多くなるので毛玉を吐く頻度が高くなります。
また、季節の変わり目の換毛期(毛の生え変わりの時期)でも同様の傾向になります。

個体差でほとんど毛玉を吐かない子もいますが、吐かないからといって気にする必要はありません。
毛づくろいをしているのに毛玉を吐かない猫は、便と一緒に毛を排泄しています。

しかしながら、毛玉が胃の中にできているのにうまく吐き出せないと、毛玉が大きくなりすぎてしまって吐き出せなくなる
毛球症と呼ばれる病気になります。
毛球症は、胃炎や通過障害の原因になるため注意が必要です。

ちなみに、食べすぎた場合は、食べたフードが消化されないまま出てきます。

猫の嘔吐の原因とは?

猫の嘔吐の原因とは?

猫の嘔吐の原因はさまざまです。
ここでは7つの原因について解説いたします。

消化器の病気

猫は、胃腸炎や消化管閉塞、巨大食道症、消化管にできたリンパ腫などの腫瘍によって、吐く場合があります。

消化管閉塞は、腸管穿孔(ちょうせんこう:胃壁・腸壁に穴が開くこと)の危険と、緊急手術が必要になる場合があるため、注意が必要です。
巨大食道症の猫は、立位(立った状態)で餌を与えると、胃の中まで食べたものが送り込みやすくなり、嘔吐の予防につながります。

また、便秘が原因で吐くケースもあります。

消化器以外の内蔵の病気

猫が、膵炎や肝炎、胆管炎、また、腎臓病を発症している場合、嘔吐する可能性があります。
特に、急性膵炎の場合、激しい嘔吐が見られ、早急に処置を行わなければ命にかかわります。

また、腎臓病から尿毒症へと進行している場合も、早急に処置を行う必要があります。

感染症

猫は、ウイルス、細菌、寄生虫に感染すると消化器に障害が引き起こし、嘔吐する場合があります。

ウイルス性の感染症としては、猫パルボウイルスや猫コロナウイルスが原因となり、嘔吐を始めとする消化器症状を起こす可能性があります。
猫パルボウイルスによる汎白血球減少症(猫ジステンパー、猫伝染性腸炎)や猫コロナウイルスが突然変異をして起こる猫伝染性腹膜炎は、死に至ることもある感染症です。

猫コロナウイルスは感染力が強い反面ワクチン接種で予防することが可能です。
しかしながら猫パルボウイルスの突然変異による猫伝染性腹膜炎に対する有効なワクチンはありません。

異物誤飲

猫が異物を飲み込んでしまい異物が胃腸を刺激したり、閉塞を起こしたりすることにより、嘔吐につながることがあります。
特に、ひも状の異物が猫の腸管内に引っかかってしまうと、腸の蠕動運動に合わせ、ひも状の異物に沿って腸がアコーディオン状に手繰り寄せられてしまい、これにより、腸管が壊死し、腸管穿孔につながる場合があり、場合によっては死に至る場合があります。

中毒

猫が洗剤や殺虫剤、植物などの毒物や、傷んでいる餌や生ゴミなどを食べてしまった場合も嘔吐の原因になります。

特に、猫が毒物を口にしてしまった場合、胃洗浄や解毒処理を行うなど迅速な対応が求められます。
すぐに動物病院で受診しましょう。

食物アレルギー

食物アレルギーを持っている猫の場合、アレルゲンが含まれている食事を口にすると嘔吐することがあります。

ストレス

私たち人間のように、猫もストレスが原因で吐くことがあります。
引越や家族構成の変化などといった生活環境の変化によって、猫にストレスがかかり、嘔吐を引き起こすことがあります。

動物病院の受診が必要な嘔吐の症状とは?

愛猫に次の様な嘔吐の症状がある場合には、速やかに動物病院を受診するようにしてください。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 嘔吐のほかに下痢などほかの症状も見られる
  • 吐いたものの中に異物が混じっている
  • 吐いたものの中に血が混じっている
  • 吐いたものの色が緑色といった異常な色である
  • 吐いたものが便臭や薬剤臭などの異臭がする
  • 嘔吐を繰り返している

これらの症状が見られたら、早急の処置が必要な病気の可能性があります。

またウイルスや寄生虫による感染症の場合には、多頭飼いをしている家庭ではほかのネコちゃんにも伝播する可能性があるので注意が必要です。
また、猫パルボウイルスが原因の場合は、子猫の場合重篤化しやすいのでご注意ください。

上記の様な症状が見られたら、嘔吐物を密閉できる容器に入れて動物病院に持って行く、もしくは写真に撮っていきましょう。

猫が嘔吐した時の対処法について

猫が嘔吐した場合、上記の様な症状の場合は、すぐに動物病院を受診しなければなりませんが、猫が吐いているものが毛玉であるならば、正常な行動であるため、ご安心ください。

毛玉を吐く回数が多いようであれば、ブラッシングをこまめにしてあげることで毛繕いの際に飲み込む毛玉の量を減らすことができます。

また毛玉を吐くのが上手でない子の場合には、毛玉対策用のペットフードに変えることによって、飲み込んだ毛玉が便と一緒に排泄されやすくなります。

早食いによって嘔吐している場合には、フードを入れるお皿を浅めに変えてみるのもひとつの方法です。
早食い防止用のお皿もありますので、そちらを使ってみるのも良いでしょう。

ストレスによる嘔吐の場合には、猫がくつろげるスペースの確保やおもちゃやキャットタワーなどで運動させるようにするとストレス解消になります。

まとめ

猫が毛玉を吐き出すことは正常なことです。
しかしながら、本文でご紹介したように危険な嘔吐もあります。

日頃から愛猫の様子をよく観察するとともに、嘔吐した場合には嘔吐物にも注意するようにしましょう。

この記事の監修者

パール犬猫病院 院長 獣医師 田中 浩二

獣医師 田中 浩二

パール犬猫病院 院長

名古屋市緑区の動物病院です。
治らない病気、死を避けることができない病気に関しても「治らないから…」で片づけてしまうのではなく、可能な限り痛みを緩和したり、悪心を抑えたりして、看取る飼い主様が最後の時間を大切に・有意義になるように お手伝いいたします。

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住所〒458-0007 愛知県名古屋市緑区篭山1-116
電話番号052-876-8203
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