猫の便に血が混じっていたら?
飼い主さんはびっくりすると思います。
ここでは、猫の血便の原因について、また血便により考えられる病気についてご紹介いたします。
猫の血便について
猫の血便については、大きく2つに分けられます。
鮮やかな血が混じっている場合、大腸や肛門付近から出血している可能性があります。
鮮血が混じった便は、肛門付近が何らかの理由で傷ついて、排便時に血が混じった可能性もありますが、大腸から出血している場合もあります。
また真っ黒い便の場合、小腸や胃からの出血が考えられます。
便として排泄されるまでの間に、血液が酸化してタール化することにより便が真っ黒になったと考えられます。
赤い血が交じった便、黒い便、いずれにせよ、血便は何らかの病気のサインだといえます。
すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
また下痢や食用不振、元気がなく、ぐったりしているようであれば、かなり緊急性があります。
獣医師に速やかに相談するようにしてください。
猫の血便のおもな原因とは?

血便の考えられる原因は、細菌・寄生虫・ウイルスやアレルギーなどいくつかあります。
ここからは、猫の血便にはどのような原因が考えられるのか見ていきます。
細菌感染による胃腸炎
細菌感染による胃腸炎の場合、悪臭のする便が特徴です。
また、嘔吐や下痢を伴うことが多くあります。
細菌感染のおもな原因は、サルモネラ菌です。
生肉を食べるなどすると、サルモネラ菌に感染することがあります。
寄生虫による胃腸炎
寄生虫による胃腸炎の原因となるのは、鉤虫(こうちゅう)です。
鉤虫は、1.5cmほどの大きさで腸の粘膜に噛みつき血液を吸う寄生虫です。
寄生虫には、回虫、条虫、トキソプラズマといったものがありますが、その多くは軽度の消化器症状が見られるか、症状が見られない不顕性感染である場合がほとんどです。
寄生虫が大量に寄生していたり、免疫力が低下している猫や子猫の場合は、重篤化して血便を伴う下痢になることがあります。
猫パルボウイルス感染
猫汎白血球減少症とも呼ばれている猫パルボウイルス感染症は、猫が感染すると、免疫をつかさどっている白血球の数が減少し、食欲不振、嘔吐、血を含む下痢、発熱、脱水などの症状が見られます。
猫パルボウイルス感染症は、致死率が70%を超えるとされており、ウイルスの環境抵抗性(ウイルスが環境下で安定したまま感染力を維持する性質)や感染力が高い危険な病気です。
ただし、ワクチンで予防することができます。
異物誤飲
針状の鋭利なものを誤って飲み込んでしまうと、腸管を傷つけて出血を起こすことがあります。
またヒモ状の異物を飲み込んでしまい、腸管内に引っかかってしまうと、腸のぜんどう運動によって、腸がヒモ状の異物とともに、アコーディオンのようにたぐりよせられます。
これにより腸管穿孔や腹膜炎などが引き起こされることとなり、緊急手術が必要となります。
腫瘍
老齢猫であれば、消化器にできたリンパ腫などの腫瘍によって出血を起こし、それが血便の原因となる場合があります。
猫の血便の検査と治療について
愛猫の血便が見られたら、受診の際に便を持っていくようにしましょう。
できるだけ新鮮な便を空気に触れないよう密閉できる容器や袋などに入れ持参します。
直接便を持って行くのが困難であれば、写真を撮って行くのでも大丈夫です。
動物病院では、持参した便に病原体がいるかどうかを調べたり、レントゲン検査や超音波検査を行ないます。
その結果、次のような治療が行われます。
感染症胃腸炎の場合
抗生物質や抗寄生虫薬を投与し感染症の治療を行なうとともに、皮下輸液や点滴などを行ない、脱水の治療も併せて行ないます。
アレルギー性胃腸炎の場合
アレルギーの特定を行ない、該当するアレルギー除去食を使用します。
異物や閉塞により腸管からの出血
緊急手術が必要なこともあります。
腸管内の腫瘍
抗がん剤治療や外科的手術が行われます。
まとめ
愛猫の便に血が混じっていたら、飼い主さんはびっくりしてしまいます。
猫の血便には、前述のようにさまざまな原因があります。
緊急を要するものもあれば、様子を見ても良いものもあります。
ただ、飼い主さんには、どの症状が様子を見ても良いものかは分からないことがほとんどです。
覚えていてほしいのは、血便は愛猫の体に何かしらの異常があるということです。
どす黒い血が便のなかの方まで混じっている場合は、胃や小腸から出血している可能性があります。
重篤な場合が多いので、早めに動物病院を受診しましょう。
また下痢を伴っている場合、元気がなくグッタリしている、食欲がないなどの症状がある場合は、緊急性が高いものと思われます。
すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
愛猫を守るためにも、日頃から猫の便の状態を観察しておくようにしましょう。
この記事の監修者
獣医師 田中 浩二
パール犬猫病院 院長
名古屋市緑区の動物病院です。
治らない病気、死を避けることができない病気に関しても「治らないから…」で片づけてしまうのではなく、可能な限り痛みを緩和したり、悪心を抑えたりして、看取る飼い主様が最後の時間を大切に・有意義になるように お手伝いいたします。